麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「........ここは、湖?」
「あぁ。もうすぐだから、ちょっと待ってくれ」
そう言って、リードネストは深くは語らずにモモネリアの手を引いていく。
湖畔まで来ると、さっと大判のハンカチを広げ、下に敷いてくれた。
「さ、どうぞ。俺の可愛いお姫さま」
「ふふ、ありがとう」
モモネリアは、リードネストが敷いてくれたハンカチの上に腰をおろすと、目の前に広がる湖を眺めた。
リードネストも、そっとモモネリアの傍に腰掛ける。
藍色の空から、まんまると輝く月が顔をのぞかせ、揺れる水面に映っていた。
まだ空の真上まで月がのぼるまで時間があるはずなのに、不思議と今の時間でも湖には月が映っている。
位置関係に違和感がある。
だが、この湖だからこういうものだ、と変に納得する自分がいて、またモモネリアは自分の中の知らない自分がいると察した。
妙に既視感のある場所。
.......私......この湖を知っている?
「ここは桃の湖(もものこ)と呼ばれているらしい。名前の由来は、後でわかるはずだが。.......モモネリア。これを」