麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



「........ここは、湖?」





「あぁ。もうすぐだから、ちょっと待ってくれ」





 そう言って、リードネストは深くは語らずにモモネリアの手を引いていく。




 湖畔まで来ると、さっと大判のハンカチを広げ、下に敷いてくれた。





「さ、どうぞ。俺の可愛いお姫さま」





「ふふ、ありがとう」





 モモネリアは、リードネストが敷いてくれたハンカチの上に腰をおろすと、目の前に広がる湖を眺めた。




 リードネストも、そっとモモネリアの傍に腰掛ける。




 藍色の空から、まんまると輝く月が顔をのぞかせ、揺れる水面に映っていた。




 まだ空の真上まで月がのぼるまで時間があるはずなのに、不思議と今の時間でも湖には月が映っている。





 位置関係に違和感がある。




 だが、この湖だからこういうものだ、と変に納得する自分がいて、またモモネリアは自分の中の知らない自分がいると察した。





 妙に既視感のある場所。





 .......私......この湖を知っている?






「ここは桃の湖(もものこ)と呼ばれているらしい。名前の由来は、後でわかるはずだが。.......モモネリア。これを」


< 153 / 184 >

この作品をシェア

pagetop