麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
リードネストがさっと上着の大きなポケットから何かを取り出した。
それは白い布に包まれていて、リードネストがゆっくりと布を広げた。
そこに現れたのは、モモネリアのよく知る果物だった。
「......これって.....桃?」
「そうだ。.......今は季節外れだから、小さくて、甘みも少ないかもしれないが。........どうしても、ここでお前とこれを食べたかったから、さっきモモネリアが寝ている間に用意してもらった」
モモネリアは、リードネストの顔を見上げた。
「........どうして、ここで?」
リードネストに尋ねるも、彼は綺麗な顔で優しく微笑むだけで答えてはくれなかった。
その代わりに、以前食べたものより小ぶりな可愛らしい桃を一口齧った。
「......ん。おいしい。....はい、半分こ」
口の端から流れ落ちる桃の雫を指で拭って、次は静かにモモネリアの口元に運ぶ。
「.......モモネリア?.....ほら、食べて」
「......甘い。......ふふ、リード。おいしい」
そしてーーーー。
交互に一口ずつ齧って、全て食べ終えると、リードネストがゆっくりと口を開いた。
「『.......これでまた出会えるね。来世でも一緒になろう。約束の桃は二人を繋ぐ。.......必ず君を見つけるから』」
モモネリアは、その言葉を聞いて......震えた。
リードネストの手の中にある食べ終えた桃の種を見つめ俯けていた顔を、じわじわと上げ、リードネストの美しい深い青の瞳と視線を合わせる。