麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



「ふふ、やっほー!リード!元気?」



「お、お前!!本当にローネルなのか!?......その姿、しかも......喋って?」



「驚いた?」


 してやったり、という顔でリードネストにのしかかっている犬......いや、ローネルは、イタズラが成功した時みたいな笑みを浮かべて.......いるように見える。
 犬だから、まぁ、わかりにくいが。



「驚いたもなにも、一体どうなってるんだ?お前、今度は何をした?」


 モモネリアにした仕打ちを思えば、警戒して当然だ。



 のしかかられていた体を退け、体勢を立て直して問えば、「きゅぅぅん」とわかりやすく尻尾を丸めて、怖がっているフリをする。




「うわぁー。そんなに怖い顔しないでよ.....」




「.....これでも、冷静に話をしている方だ。俺がお前を捕まえようとしているのは知っているだろう。わざわざ会いにくるとは......何を考えている」




「わかってるよー。モモネリアにも.....本当に悪いことをしたと思ってる。とても怖がらせたよね.....。ごめん」




 いつもふざけた態度のローネルには珍しく、本当に反省している様子.......なのだろう。


 伏せのポーズで前足に頭を乗せて、ひたすら上目遣いで目をうるうる......。


「わかっているならいい。話はあとでじっくり聞こう。......お前から出てきてくれたんだ。これから、俺はお前を捕まえて牢にいれる。処遇が決まるまで、おとなしくしていろ」




 体ごと抱き上げようと手を差し出すと、ローネルは慌てて起き上がってひょいっと後退りした。




「ま、ま、待ってよ。.....確かに、僕はモモネリアを危険に晒した。本当に申し訳なかったと思ってる。もう二度としない。約束するよ。何なら、魔法契約書で契約を結んでもいい。........あれ?でもその場合サインは、肉球でスタンプすれば......いけるかな?」



 途中、座り込んで右手をあげて、自分の肉球を真剣に見つめる。


 そして。


「もちろん、ペナルティはたっぷりと付け加えてもらっていい。だから.....また.....モモネリアのそばに置いてくれないかな」





「.........はぁ!?」





 怒りと困惑と驚きと.....色々な感情が渦巻いてリードネストは大きな声をあげた。


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