麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
魔法契約とは、ローネルの国、ナターシェリア国で魔法使いが作る特別な紙、『魔法契約書』というものを使って契約を結ぶ。
契約が破られた際のペナルティをお互いの了承があれば自由に設けることができ、魔法による拘束力があるため、もし本当に契約が破られた時にはペナルティから逃れることはできないというものだ。
ペナルティを重いものにすればするほど、契約を結ぶ相手の本気度がうかがえ、社会的にも信用が高い。
「.......お願いだよ。リード。......モモネリアに会わせて」
複雑な感情をなんとかおしとどめ、勝手に力が入りわなわなと震えだす身体をなだめながら、リードネストは低く、威圧的な声音で答えた。
「......魔法契約は知っている。だが、無理な相談だ。.....モモネリアは、俺の命より大切な、可愛い番だ。......あいつを危険な目にあわせたお前を、二度と会わせるつもりはない」
「........リード」
付け入る隙も与えない言い方に、ローネルも俯いてしまった。
その時......。
カタッ。
小さな音がして、二人は振り返る。
今しがた、リードネストが降りてきた階段を見上げれば、可愛らしい女性が心許ない様子でガウンの裾をきゅっと合わせてきつく握っていた。
モモネリアだ。