麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「.......もう一度言ってみろ。今度は、犬とて、手加減せん。.......まぁいい。結婚式の前に、隣の領に仕事がてらモモネリアと一泊してこようと思ったんだが.....。モモネリアもローネルと出かけたがっていたし、宿の部屋は別だがついて来るくらいは許可してやろうかと思っていたのにな。お前が、そんな態度なら、ここで留守番だな」
フフン、としてやったりな顔でニヤリと笑うリードネストは、悪い顔をしていてもかっこいい。
すると、ローネルの慌てた声が隣から響いた。
「えぇっ!?うそ!!ごめんなさい!!.....僕が悪かったです。リードさま。もう逆らいませんので......どうか一緒に連れていってくださいぃ」
泣きそうな顔で目をうるうるさせて、前足2本でリードネストの腕にすがるローネルがそこにいた。
自分をそっちのけで、目の前でテンポよく会話する二人を、はじめはのほほんと眺めていたモモネリアだが、終わらない言葉の応酬にだんだんモヤモヤしてきた。
それが、顔に出ていたのだろう。
リードネストがすぐに気づいて尋ねてくる。
「どうした?」
「......なんでもないわ」
「......なんでもないって顔じゃないな。....ん?何があった?」
「........だって。私が居なくても楽しそうだなって。最近忙しくて、久しぶりにリードたちとお茶できると思って楽しみにしてたのに.....」
拗ねた声で言えば、リードネストがピタッと固まり。
すぐに........顔がデロデロに溶けた。
「......可愛い。もしかして寂しかったか?.....ん。あぁ、愛おしすぎる」
ちゅっ、ちゅっ、と顔中にキスを落とされ、モモネリアはたじたじになる。