麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜


「.......ねぇ、リード?.....その、あのね?」

 モモネリアが、手をもじもじさせて上目遣いでおずおずと話しかけてくる。

 ........可愛い。......非常に可愛い。できることなら、今すぐ襲い掛かりたい。


 何かおねだりしたいことが有るのだろうか。


 この愛らしい上目遣いも、本当に無意識にしているのだろう。

 なんと罪深き、我が番。

 自分をどこまで虜にするつもりなのか。



 その可愛い姿だけで、トロンと目尻がさがって、崩れかける顔を、なんとかとどめる。

 ほとんど反射的に、モモネリアの細い柔らかな腰を引き寄せた。


 身体を密着させると、いつも自分を誘う花の蜜のような、嗅ぐだけで惚けてしまう香りが鼻をくすぐる。

 モモネリアの、優しく、甘い、心地のいいにおい。


「ん?どうした、モモネリア?」

 自分でも驚くほど、蕩けた声が出る。

 モモネリアだけに発せられる、耳から溶けそうなほど甘い声音だ。



「.......ローネルを、もっとここに居させてあげることはできない?」

「...........」

「...........だめ?」

 ぎゅっと、服のすそを小さな手でつかまれ、うるうると瞳を揺らしておねだりされると.........抗えない。
 

「.......いいよ。ローネルはあと二時間、ここにいてもいい。許可をだす」


「 本当!?」


 パッと目を見開き笑顔を見せる番が、実に可愛い。
 .......が、おもしろくはない。



「.......その代わり」



 リードネストは、ぐいっと彼女の腰を抱く手に力を込め、掴んだ。

 モモネリアの身体が、ふわっと持ち上がる。

 ストン。

< 181 / 184 >

この作品をシェア

pagetop