麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
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 私は、モモネリア・クローネ。


 ふわふわ波打つ腰まで伸びた桃色の髪の毛、長いまつ毛に縁取られたエメラルドグリーンの瞳、ちょこんと可愛らしく主張する鼻、ふっくら柔らかそうなさくらんぼみたいな唇。

 折れそうなほど線の細いくびれと対比して、ふんわり膨らむ胸とお尻のラインは女性らしい曲線を描いている。


 容姿でいえばよく褒められる方だ。


 だが、容姿はよくても、それを彩る服や靴はもう何年も着古したボロ切れである。


 モモネリアは、自分の身なりを見て、こっそりとため息をついた。

 年頃の娘なのに、オシャレとは程遠い。
 
 モモネリアは先月十八を迎え、晴れて成人となった。
 飲み屋を経営する父ジャック、母アンネット、二つ上の姉ガーネット、そしてモモネリアの四人家族だ。

 お店は夕方に開店して夜中まで営業している。

 そのため、両親は明け方から昼頃まで寝ており、家事とお店の営業に必要な買い出しや仕込みは、ほぼモモネリアの仕事だ。

 姉は、家の仕事を手伝わない。

 昔から自由な人で、家事や買い出しなどに自分の時間を費やしたくないらしい。

 もう大人だというのに、結婚するでもなく。

 家族を手伝うでもなく。

 両親に好きにものを強請っては、色々買い与えられ、新しい服やアクセサリーで着飾り、フラフラ遊んでばかりいる。

 モモネリアは、そんな姉と、姉に甘い顔をする両親に挟まれて、あまりワガママも言えず、ずっと言われるままに両親を手伝ってきた。

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