麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

 心地よさに片目を瞑りながら、モモネリアは少し拗ねた声で言い返した。



「....ん。....もう。その呼び方、恥ずかしいんだけど」


「....ふ。いいだろう?俺にとったら、この世でたったひとりの愛しいお姫様なんだ」



 リードネストが以前モモネリアの昔の記憶を頼りに探してきてくれた果物は、「桃」というらしい。

 リードネストが暮らすトーリェンシア国は元々モモネリアが暮らしていたミネトーネ国とナターシェリア国に挟まれる形で位置している。
 
 「桃」は、ミネトーネ国とは反対側の隣国ナターシェリア国が原産地で、果肉は甘くてジューシーで女性に人気があるらしいが、とても柔らかく傷がつきやすい。


 そのため輸入にはあまり向かず、自国、トーリェンシア国内で栽培されたものが出回るくらいなのだ。

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