麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
先日リードネストにプレゼントされたたくさんの花が咲き誇る庭の一角のガゼボで、モモネリアが本を読んでいた時だ。
一瞬本から気が逸れて、リードネストへの贈り物の件でぶつぶつと思い悩んでいると、例に漏れずリードネストが背後に立っていた。
今日も、気配を消すのがとてつもなくうまい。
「...もう!いつも突然現れるのはやめて下さいってお願いしてるのに!」
ぷんぷんと唇を尖らせて抗議しても、その顔さえも可愛すぎる!と深い青色の瞳を細めてなんとも優しげに笑う。
リードネストの瞳は暗めの色で確かにクールに見えるのに、モモネリアに向ける視線は、情熱的で、いつも目一杯甘さを含んでいるのだ。
彼の綺麗な尻尾も、喜びの感情を隠そうともせずブンブン振られ、頭に生えた三角耳もモモネリアの声を聞き逃すまいとピンと立っている。
....んー。怒りが伝わらないのも虚しいものなのね。
変な悩みができたなぁ、と思うと可笑しくて、何に怒っていたのかわからなくなった。
.....なんだかんだ幸せだ。
「ごめん、モモネリア。....ん。今日も可愛いな。モモネリアに会えない時間が長すぎて、早く会いたくて我慢できないんだ。ずっと連れて歩きたいくらい」
モモネリアをそっと後ろから抱きしめて、耳元で囁くリードネスト。このまま唇が触れそうな距離にいるのに、リードネストはいつもそれ以上何もしてこない。