麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「モモネリア.....どうして.....俺のことが嫌になったのか?」
誰からも返事はないとわかっていながら、独り言ちる。机に肘をついて、頭を抱えて大きくため息を吐いた。
あの瞬間に何故なのか尋ねれば良かったものを、リードネストはそうしなかった。理由は明白だ。
モモネリアの口から、拒絶の言葉を聞きたくなかった。
もし、モモネリアから「一緒にいたくない」「顔を見るのが辛い」「嫌いだから」などと言われたら....そう思うと怖くて足がすくんだ。
「....しつこすぎた、だろうか」
モモネリアへの愛しさが溢れて、日に何度も会いに行ったのが重かったのか。それとも、モモネリアが愛らしすぎて、我慢できずに触れすぎただろうか。
やはり、少しは心を開いてくれたと思っていたのは、俺の勘違いだったのかもしれない。モモネリアは、自分勝手に攫ってきた俺を許しはしていないのだろう。
そんな俺が、しつこく会いに行き、聞きたくもない愛の言葉を囁き、自分に触れ、毎日のようにプレゼントを贈ってくる。
モモネリアはどれだけ辛く、重荷だっただろうか。
モモネリアは人間だ。
俺たち獣人の番への執着や、重い愛は理解できないだろう。もしかしたら、怖がらせただろうか。