麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
ハッと気づいた時には、遅かった。全て、ハッキリと、リードネストの耳に届いてしまった。モモネリアは、青ざめて、アタフタと慌てふためく。
そんなモモネリアを見て、リードネストはポカンと口を開けたままだ。しばらくして、リードネストの口がゆっくり動く。
「.....もしかして、泣いていたのは.....俺が、リンツと一緒にいたから、か?」
「....うぅっ」
言い逃れできない状況に、言葉に詰まるモモネリア。
そんな様子をみて、リードネストは徐々に喜びの感情をあらわにする。
三角耳は嬉しげにピクピクと揺れ、尻尾はバサバサ音がするほどはちきれんばかりに振られている。
そんなリードネストをみて、怒っていた気持ちが萎んできて、モモネリアは小さな声で力無く答えた。
「.....そう、なの。ごめんなさい。こんな醜い、感情.....。私のこと、嫌になった?」
「....どうして嫌になるんだ?俺がモモネリアのことを嫌になるわけがないだろう」
心底わからない、とでもいう風にリードネストは首を傾げる。
「.....だって、わたし.....」
モゴモゴと口籠もるモモネリアに、もう一度リードネストは力強く告げる。