麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「この犬のクッキーも、モモネリアが焼いたのか?」
「.....狼よ」
狼を犬と間違えられて、じと目を向けたモモネリアだが、リードネストにはそんな顔も可愛くうつるらしい。
軽く睨んだはずが、それはそれは甘い笑みで返され、呆れてしまった。
......この人には怒っても伝わらないんだったわ。
「.....そうよ。邸の料理長に教わって。味は、確認済みだから大丈夫よ」
気を取り直して、ふふ、と笑って答えるモモネリアを、喜びに震えるリードネストが見つめる。
「.....はぁ。幸せすぎて怖いな。.....実はモモネリアに、嫌われたと思って落ち込んでいたんだ」
「......ごめんなさい。やっぱり誤解させていたのね。.....何となくそうかもって思ってたんだけど、リードを怒らせたかもしれないと思って、言いにくくなってしまって」
「俺が、モモネリアに怒ることなんてないよ。可愛くて可愛くて、大切で大切で、好きで好きで、好き過ぎて、仕方ないんだから。きっと俺は一生モモネリアに怒ることなんてないと思う」
真顔で力説するリードネストは、やけに熱がこもっていた。
「モモネリアは獣人の番への愛と執着を甘くみすぎだ。俺は何があってもモモネリアを絶対に離さないし、モモネリア以外興味もない。お前だけだ。モモネリア以外に触れたいとも思わないし、お前以外に触れられるのも気分が悪くなる。獣人にとって、番は唯一無二だ。俺をこんなに虜にするのはお前だけなんだ。.....これからゆっくり教えていこう」
ニヤリと笑ったリードネストの顔を見て、ゾクッと何かが背を這った感覚がしたーー。