麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

「この犬のクッキーも、モモネリアが焼いたのか?」

「.....狼よ」

 狼を犬と間違えられて、じと目を向けたモモネリアだが、リードネストにはそんな顔も可愛くうつるらしい。

 軽く睨んだはずが、それはそれは甘い笑みで返され、呆れてしまった。

 
 ......この人には怒っても伝わらないんだったわ。


「.....そうよ。邸の料理長に教わって。味は、確認済みだから大丈夫よ」

 気を取り直して、ふふ、と笑って答えるモモネリアを、喜びに震えるリードネストが見つめる。


「.....はぁ。幸せすぎて怖いな。.....実はモモネリアに、嫌われたと思って落ち込んでいたんだ」


「......ごめんなさい。やっぱり誤解させていたのね。.....何となくそうかもって思ってたんだけど、リードを怒らせたかもしれないと思って、言いにくくなってしまって」


「俺が、モモネリアに怒ることなんてないよ。可愛くて可愛くて、大切で大切で、好きで好きで、好き過ぎて、仕方ないんだから。きっと俺は一生モモネリアに怒ることなんてないと思う」

 真顔で力説するリードネストは、やけに熱がこもっていた。

「モモネリアは獣人の番への愛と執着を甘くみすぎだ。俺は何があってもモモネリアを絶対に離さないし、モモネリア以外興味もない。お前だけだ。モモネリア以外に触れたいとも思わないし、お前以外に触れられるのも気分が悪くなる。獣人にとって、番は唯一無二だ。俺をこんなに虜にするのはお前だけなんだ。.....これからゆっくり教えていこう」

 ニヤリと笑ったリードネストの顔を見て、ゾクッと何かが背を這った感覚がしたーー。






< 74 / 184 >

この作品をシェア

pagetop