麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



「......まだ結婚していないわ」



「いずれ、そうなる。それに、俺は獣人だ。獣人が番と出会い、一緒に住むということは婚約同等の意味を......いや、それ以上の意味を持つ。もちろん、この国の正式な手続きをきちんと踏む準備も、現在しているが。すでに俺の中の認識は、モモネリアは番であり、婚約者であり、妻なんだ。俺だけでなく、両親や使用人の認識でもな。モモネリアと気持ちが通じあい、モモネリア自身も俺を受け入れてくれた今、尚更、逃がすつもりはない」



 
 カァっと顔に熱が集まる。




 ........でも、嬉しいわ。



 モモネリアは、改めてリードネストと両想いになった実感が押し寄せてきて、くすぐったくなった。

 そんなモモネリアの様子を、カーヴィンは微笑ましげに見つめたあと、再び話し始めた。




「......奥様。旦那様は例え使用人でも、他の男性の目に奥様が晒されるのが嫌なのですよ。だから、奥様がここに来てすぐ、使用人一同へ通達したんです。毎日、奥様の予定を共有して、奥様が出歩くであろう時間は男性の使用人は必ず奥での作業に切り替えるように、と。つまり、綿密に入れ違いにさせて、奥様と男性の使用人が接触しないよう取り計らわれているのです」


 モモネリアは、ポカーンと口を開けたまま固まった。


「......えっと、それは.....」


 しばらくして、状況を理解したモモネリアは、おそるおそる聞き返す。




「.....えぇ、そうです。旦那様の独占欲と嫉妬心からです」


「ゔっっ!!」


 ハッキリ言われてダメージを受けたのか、リードネストが左胸をおさえた。



「.......全然知らなかったわ。リードは、いつも優しいし、私が何かお願いしてもいつもサラっと聞き入れてくれるから」


 戸惑っていると、カーヴィンはさらに補足した。

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