麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
リードネストに思いっきりくっついて、甘えたくなった。
使用人たちは主人たちの空気を読んで、皆邸に戻っていく。
残されたのは、リードネストとモモネリアの二人。
できる使用人たちである。
「.......モモネリア?」
リードネストがモモネリアの腕にそっと手を添えた。
モモネリアは、押し付けていた顔をゆっくりあげ、膝の上に座っていても自分よりも高い位置にあるリードネストの顔を上目遣いで見た。
その目に嫌悪や苛立ちの色はない。
ただ恋人に甘え、強請るような潤んだ目。
リードネストはまた唸った。
「うっ。......か、可愛い。......どうした?ん?」
モモネリアが、甘えているとわかったのだろう。
リードネストはモモネリアの背を支える腕とは別の腕を腰に回し今度は嬉々として、溶けそうなほど甘ったるい声音で、自分の愛しい恋人に尋ねた。
「....なんでもないの」
モモネリアはゆっくり目を伏せ、自身の背に回し、抱き込んでいるリードネストの大きな右手をとった。
両手で、それを弄って遊ぶ。
ツンツンしてみたり、手のひらを合わせて大きさを比べてみたり、自身の左手をそれに重ね指を絡めてぎゅっと握ってみたり。