麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜


 何度も顔中にキスを降らせたあと、心地よさそうなモモネリアの表情をみて、リードネストは切なげに唸りボソリと呟く。



「........これ以上は、ダメだな。我慢できなくなる」


 モモネリアにはリードネストの小さな呟きは届いておらず、急に止んだキスに物足りなさを感じた。



「......やめないで。もっと.......キス、して?」



 目を開けて、すっかり蕩けた顔で強請るモモネリアは、男の事情など考えていない。

 その顔と言葉に、リードネストはますます苦悶の表情を浮かべ、小さく「ガルル」と喉を鳴らした。



「......お前は、無意識か?.....煽りすぎだ。今は理性を保つのに必死なんだから、可愛すぎるのもほどほどに頼む」


 困った顔で、目元を赤く染めながら言うリードネストは、何とも言えない色気を漂わせている。



「.......だって、気持ちいいの」



 モモネリアはリードネストの言っている意味もわからず、ただ素直な気持ちを吐露する。


 クッ、と呻いてから「はぁ~」と長い息を吐き出しながら、リードネストはモモネリアをぎゅうっと抱きしめた。


 モモネリアは、されるがまま身を委ねる。

 しばらくモモネリアを抱いたあと、リードネストはゆっくり離れた。

 モモネリアの腰に回していた左手を、彼女のふっくら柔らかそうな艶めく唇に持っていき、指でそっとなぞる。


「.........キス、しても?」


 リードネストに与えられる心地よさに浸っていたモモネリアは、遅れて反応した。

 徐々に意味を理解して、頬に朱がさしていく。

 恥ずかしい、が嫌ではない。
 素直にそう思った。

 そのまま口にするのは憚られて、何と返事をすべきか悩み、モモネリアは静かにひとつ頷くだけにとどめた。

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