麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「いいの?......お仕事の邪魔にならない?」


「なるものか。むしろ、モモネリアが居てくれたら俺は元気になれる。仕事にも精が出る」


「.....嬉しい!私、もっとたくさんの景色が見たいわ!.....とても楽しみよ。リード、いつもありがとう」


「......ふっ。お礼はここにしてくれ」


 満面の笑みで、お礼を言うモモネリアを目を細めて見るリードネスト。そう言って人差し指で唇を指し示し、少し屈んでみせた。

 ぼっと、真っ赤になったモモネリアは、視線を泳がせる。

 意を決して、躊躇いながらゆっくりとつま先立ちになり、リードネストの胸に両手を添えた。

 顔が近づき、柔らかな唇がリードネストのそれに重なる。



 ちゅ、と控えめなリップ音が響いた。


 リードネストは、ニィッと口の端を挙げて笑うとモモネリアの細い腰をかき抱いた。


「足りないな」


 そう言ってまた重なる唇。
 モモネリアは、瞼を閉じた。



「.......ん」


 何度かキスを交わし、はぁ、と吐息を漏らしたモモネリアはゆっくり目を開けた。

 すぐ近くに、リードネストの綺麗な顔があって、ドキドキ胸が鳴る。

 と、同時に、モモネリアはハタと固まる。


 .......しまった。ここは......。


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