仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「前例がないからできない? 四の五の言わず、まずはできる限りのことをやってみてください。私はあなたの才能を見込んでこの案件を託したんです。死に物狂いで向き合って、それでも万が一結果が出なかったときは、私が全ての責任を取ります」
……そう、こんなふうに。
自ら汚れ役を買って部下をの背中を押すような姿を、もう何度も見た。
彼の非情さは、きっと会社の未来を背負う圧倒的な覚悟の裏返しなのだと思う。
「悪い、少し話が長引いてしまった」
電話を終えた統悟さんがソファに戻ってきて、はっと我に返った。
「いえっ、お気になららず」
いけない、ぼうっとしていた。ただ、そのわりに鼓動はせわしなく響いている。
最近、こんなことが増えた。
もとより、統悟さんと初めて目を合わせた瞬間から心の落ち着く暇などなかったのだけど、その頃の恐怖や緊張からくるドキドキとはまた少し違った感触がある。
ひとり戸惑っている私をよそに、彼は当然のように隣に腰を下ろしてきた。
「いつもふたりの時間が終わる頃には少し慣れてくれたように感じるのに、次の日になると君は昨晩のことがなかったかのようにガチガチにリセットされている。いったいどういうカラクリだ?」
わざとらしいため息をこぼしながら、妖しく目を細めてくる。