仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「ところで、仕事のほうは順調ですか?」
半分以上食べ終えたところで、再び彼が口を開いた。
「はい……。毎日、目まぐるしくてすごく大変ですけど、その分やりがいがあってとても楽しいです」
「それならよかったです。柳さんからもあなたの活躍は聞いていますよ」
「恐縮です……。……ところで、あの」
指摘するべきか迷いつつ、彼を見つめる。
「統悟さんは、敬語じゃなくて大丈夫ですよ……?」
すると彼ははっとしたように動きを止めて。
それから小さく笑った。
「そうだったね。うっかりしていた」
そのふとした自然な笑顔に、胸がぎゅっと締めつけられる。
どうやら私は彼の完璧じゃない笑顔にめっぽう弱いみたいだ。
「じゃあ、何か困ったことは?」
「困ったこと……ですか?」
「例えば……そうだな、変な客に絡まれたりとか、男にしつこく迫られたりとか」
「いえ、特にはありません」
正直に答えたのに、なぜか彼は疑わしげな視線を向けてくる。
「……たとえ口説かれていたとしても、君は気づかなさそうだな」
低い声で何か呟くのがわかったけれど、聞き取れず。
首を傾げて見つめ返すと、なぜか目を逸らされてしまった。
どこか不服そうに見えたのは……気のせい……?