仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「ただいま」
「おかえりなさい。お疲れ様でした。夕食は済ませたとメールでおっしゃってましたよね。お風呂の前に、なにかドリンクでも飲まれますか?」
統悟さんは、いつものようにネクタイをゆるめながら私を見た。
「……ありがとう。大丈夫」
「わかりました。では、いつものようにリビングでお待ちしてますね」
にこっと笑って背を向けようとすると、ふいに片手で制された。
「統悟さん?」
「少し、外に出ようか」
「え……? 今からですか?」
「今までずっと家の中ばかりだったから、たまにはいいだろ」
「あ、そういうことでしたら……はい」
私がうなずくと、彼は少し待つように言って自室へ入っていった。
時計を見れば、すでに夜の十一時を回ろうとしている。
どうして急に外へ……?
ずっと家の中での訓練だったから、たまには外に出てみようという提案もわかるのだけど、わざわざこんな遅い時間じゃなくても、もっと余裕のある日でいいんじゃないだろうか。
そんなことを思いながら、玄関で彼を待った。