仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
今日のところはもう話し合いは終わったと油断していたせいで、ひどく間抜けな声が出た。
「親密な距離感だけはどうしても、設定を頭に叩き込むだけじゃ身につきませんから」
「そ、そうですよね、はい。もちろん大丈夫です」
彼が静かに立ち上がる。
するとほのかに甘い匂いがして。ゆっくりとソファが沈む気配に、思わず息を詰めた。
「もう少し近づいてもいいですか?」
「……はい……」
断る理由なんてどこにもない。
これはあくまで偽装のための訓練だから。
……わかっているのに。
隣に座る彼の体温がルームウェア越しに伝わってきて、意識せずにはいられなかった。
私の心臓は、一週間前のあの夜と同じ激しい音を立て始める。
「……パーティーでそんなにガチガチに固まっていたらバレますよ」
「すっ、すみません……!」
「慣れないなら、まずは俺に寄りかかってみてください」
「っ、それはそれでますます緊張してしまいます……」
「そこを乗り越えないといつまで経っても進展しません。ほら」
統悟さんはそう言うと、私の肩を抱き寄せた。
私の体はあっさりと彼の胸元に収まってしまう。