仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
緊張でくらくらする。彼の顔もまともに見ることができない。
それでも、私の、精一杯の素直な気持ちだった。
「段階……ね」
やがて耳元で静かな声が響いた。
統悟さんか身をかがめて、ゆっくりと視線を合わせてくる。
「じゃあまずは具体的に、何から始めればいい?」
「たとえば……ええと、その……手を繋ぐ、とか」
蚊の鳴くような声で答えると、予想外の言葉だったのか、彼が言葉を詰まらせる。
「っ、すみません、子供っぽすぎましたよね……」
「いや。君がいいなら、そこから始めよう。手を貸して」
そっとすくい上げられて、どきりとする。
手のひらが重なった。
男の人らしい、私よりずっと大きな手。
触れた体温が思いのほかやさしくて、あたたかくて、鼓動がしだいに速まるのがわかる。
彼は私の目を見つめたまま、ゆっくりと指先を絡ませていった。
「……こんな感じですか?」
「……っ、は、い」
隙間をが埋めるようにして、彼の手にぎゅっと力がこもる。
それに合わせて心臓が大きく揺れて、やっぱり彼に支配されているみたいだ、と思う。
……おかしい。手を繋ぐなんて我ながら子供っぽい提案だと恥ずかしく思っていたのに。