仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「……こんな感じですか?」
「……っ、はい」
隙間を埋めるようにして、彼の手にぎゅっと力がこもる。
それに合わせて心臓が大きく揺れて、やっぱり彼に支配されているみたいだ、と思う。
……おかしい。
手を繋ぐなんて我ながら子供っぽい提案だと恥ずかしく思っていたのに。
触れた部分がさっきよりも熱い。
私の熱が彼に移ってしまったのかもしれない。
ただ手を繋いでいるだけなのに、体温が溶け合うような感覚がかえって官能的に思える。
……うう、とんだ計算違いだった……。
静まり返ったリビングに、私たちの息づかいだけが響いている。
このままじゃ酸素が足りない。心臓も足りない。
「あの……ありがとうございます、私のわがままに付き合っていただいて」
限界がきて、自ら沈黙を破った。
なにか会話でもしないと、心まで完全に彼のものにされてしまいそうで怖かったから。
「……いえ、必要なことですから。このくらい、いつでも付き合います」
ひと呼吸おいて、彼が続ける。
「では、今度こそ練習は終わりにしましょうか」
「……はい」
指先がほどかれていく。
私も離さなくちゃと思うのに、そんな意志とは反対に、無意識にその温もりを追いかけていた。
彼が繋いでくれていた手を、今度は自分のほうから、ぎゅっと握りしめて。
「……理優さん?」
戸惑ったような彼の声で、我に返る。