仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

……。いや……。
いやいやいや、ちょっと待って。

各マンションの日誌やら報告書やらに毎日目を通している? 信じられない。

夜見社長の所有するマンションといえば腕が六本生えていたとしても数え切れないほどで。

そもそも、都市開発などの大規模な案件をいくつも抱えている夜見社長からしたら、マンションの運営なんて片手間に行うくらいの仕事のはずで。

もっと言えば、下に就く誰かに丸投げしているものだと思い込んでいたのに……。

だからこれもきっと、私を言いくるめるため口から出まかせ。

でもそんな疑いは、彼の瞳を見つめ返しているうちに不思議と消えていってしまう。

この人は冷酷かもしれないけれど、嘘を言っているわけではなさそうだ。
わざわざ足を運んでまで私を呼び出した理由も、彼の言葉を信じればぎりぎり納得できる。

「異動していただく予定のマンションは、こことは規模も客層も大きく違います。相手にするのは財界人や芸能人……いずれも扱い方を決して間違えられない人間ばかり」

まっすぐに注がれる視線を、今度はできる限りの誠意をもって受け止める。
あなたが必要だと、言われている気がした。
< 14 / 46 >

この作品をシェア

pagetop