仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「異動を、了承していただけますか?」
先程とまったく同じセリフ。だれどそれには、小さな迷いをすくい上げるようなぬくもりを感じた。
ゆっくりと頷けば、書類の入った封筒を静かに差し出される。
私が受け取ると、彼は席を立った。
そのまま背を向けてエントランスのほうへ向かい、最後に、ふと思い出したように足を止める。
「今日、ようやく顔を見ることができて嬉しかったです。……昼に来たときには、会えなかったから」
振り向いた彼の笑顔は相変わらず美しかった。そう、悪魔みたいに。
「俺はもうずいぶん前からあなたの仕事ぶりに惚れ込んでいるんですよ。成田さん」
───早まった、気もする。
でもこの人に見つめられただけで、すべてを委ねてもいいと思ってしまった。私はだいぶおかしいのかもしれない。
いいや、最初に彼を見たときからすでにおかしかったのだ。ルールの意味に気づいた瞬間に気づかなかったふりをしてしまうくらいには。
夜見統悟と目を合わせてはいけない理由が、ここにあった。
先程とまったく同じセリフ。だれどそれには、小さな迷いをすくい上げるようなぬくもりを感じた。
ゆっくりと頷けば、書類の入った封筒を静かに差し出される。
私が受け取ると、彼は席を立った。
そのまま背を向けてエントランスのほうへ向かい、最後に、ふと思い出したように足を止める。
「今日、ようやく顔を見ることができて嬉しかったです。……昼に来たときには、会えなかったから」
振り向いた彼の笑顔は相変わらず美しかった。そう、悪魔みたいに。
「俺はもうずいぶん前からあなたの仕事ぶりに惚れ込んでいるんですよ。成田さん」
───早まった、気もする。
でもこの人に見つめられただけで、すべてを委ねてもいいと思ってしまった。私はだいぶおかしいのかもしれない。
いいや、最初に彼を見たときからすでにおかしかったのだ。ルールの意味に気づいた瞬間に気づかなかったふりをしてしまうくらいには。
夜見統悟と目を合わせてはいけない理由が、ここにあった。