仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
どれを合わせてみてもいまいちで、どうしようと頭を抱えた。
その直後だった。
「理優さん、そろそろ準備はできましたか?」
ノックの音とともに統悟さんの声が聞こえて、私は飛び上がる勢いで扉のほうを振り返った。
彼は紳士なので、中を覗き込んでくることはないとわかっているのだけど。
スマホの時計を見れば、彼が指定していた出発の時間はとっくに過ぎている。
「申し訳ありません……! すぐに……あと5分したら出てきますので……っ」
半ばパニック状態で、ベッドに放り出していた服の中から一番まともに見えそうなものをつかみ取った。
アイボリーのブラウスに、身体のラインを拾いすぎない、落ち感の綺麗な淡いブルーのフレアスカート。
あとは……せめて、地味すぎないように……。
お気に入りのパールのイヤリングを耳に、それとペアで買ったブレスレットを手首に滑り込ませる。
最期に手ぐしで髪を整えてから、急いで部屋を出た。
リビングに入ると、彼がソファから静かに立ち上がった。
チャコールグレーのカジュアルなジャケットスタイル。
普段のかっちりとしたスーツ姿とはまた違う色気にあてられて、思わず数秒、ほうっと見惚れてしまった。