仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

矛盾した気持ちがぐちゃぐちゃにぶつかって、ついには理性までも奪われて。

「はあ……本当に困った人だ」

そんな言葉とは裏腹に彼の甘く響くのは、私の都合のいい勘違いだろうか。

「すみません……、自分でもよくわからなくて……」

「………」

「でも、さっきのではまだ……足りなかった、のかも」


だめ。だめだと思うのにブレーキが効かない。

一度溢れ出してしまった本音は、もう自分では止められなかった。

私を抱きしめる腕の力がゆるんだかと思えば、ふと、目の前に影が落ちる。


「言っただろ。俺の理性がいつでも効くとは限らないので気をつけて……と、あれほど」

「統悟、さ……」

呼びかけた名前は、彼の唇によって遮られた。

触れたのは、ほんの一瞬。
それなのに、時間が止まったみたいだった。

どこかふわふわとした心地で相手を見上げれば、またすぐに奪われる。

「……んっ……」

今度はさっきよりも深く重なった。
 
まるで現実だとわからせるみたいに、大きな手がそっと頬を包んで、輪郭をなぞる。

ゆっくりと目を閉じると、その瞼の裏でチカチカと火花が散って見えた。

「……っぁ、ん……」

浅い呼吸のあいだを縫うようにして彼の熱が中に入り込んでくる。

濡れた感触が伝わり、体がぞくりと甘く痺れた。
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