仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

「ひゃーっ、統悟が言っていたとおりね。本当に、なんて可愛い方なのかしら!」

「もったいないお言葉です。私の方こそ、統悟さんのような素晴らしい方と……」

「ふふっ、そんなに謙遜しないで? 結婚を知らせてきたときの統悟の嬉しそうな声、あなたにも聞かせてあげたかったわ〜」

「え……?」


思わず目を丸くすると、統悟さんが慌てたように一歩前に出てきた。

「母上、余計なことを言わないでください」


一瞬驚いたけれど、よく考えてみれば腑に落ちる。

恋愛を経ての結婚だと両親に信じ込ませるためなら、わざと嬉しそうに話るくらい、彼なら完璧にやってのけるだろう。

さすが抜かりがない……。


驚くべきはむしろ、お母様のこの笑顔。

まるでお宝でも見るかのような慈愛に満ちた瞳で見つめられ、これはもしや私の都合のいい夢の中なんじゃないかという気さえしてくる。


「ほら、あなたも理優さんにご挨拶して」

「ああ。理優さん、こんな息子を選んでくれてありがとうね。ところで式はいつするのかな。早く計画を立てよう」

お母様に続いてお父様にまでそんなことを言われ、もはやわけがわからない。

わけがわからないから、私はただ、シュミレーション通りにもう一度頭を下げるしかなかった。


「ふつつか者でまだまだ至らぬ点も多いですが、統悟さんの妻として恥ずかしくないよう精一杯努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします」

そんな私を、統悟さんのご両親は最後までやさしく見つめてくれていた。
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