仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「それじゃあ名残り惜しいけれど、私たちも色んな挨拶回りがあるから一旦さよならね。また、パーティーの終わりに会いましょう」
「はい。失礼いたします」
「ふふっ。楽しんでね」
ふたりの背中が見えなくなった瞬間、すさまじい緊張から開放され体からするりと力が抜けた。
「おっと。大丈夫?」
ふらりと傾いた私の体を、統悟さんがしっかりと抱きとめてくれる。
「すみませんっ……、ありがとうございます。……あの、私はうまくやれていたでしょうか……」
「満点だよ、さすがだ。というか、騒がしい両親でびっくりしただろう」
「騒がしいなんてとんでもない。ふたりともとてもお優しくて……あたたかいご家庭なんだなと、胸がいっぱいになりました」
すると彼がくすりと笑う。
「あの人たち、こっちが恥ずかしくなるくらいずっとラブラブなんだ」
「ふふっ、見ているだけで伝わったきました」
「俺たちも周りにそう見えたらいいな」
「っ……、はい、そうですね」
いちいち心臓が反応してしまって恥ずかしい。
偽装がバレないように、という意味だとわかっているのに。
そんなとき、まもなく前方から声がかかった。
「────あ、いたいた、夜見さん!」
ぱっと振り向いて相手へ歩み寄る彼のあとに、私も続く。
やや遅れてどきどきと加速し始めた鼓動は、ありがたいことに、パーティーの喧騒がうまく隠してくれた。