仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「統悟様、理優様、こんばんは」
挨拶も落ち着いてきたころ。
統悟さんに手渡してもらったシャンパンを口に含んでいたら、前方から聞き覚えのある声がした。
顔を上げると、案の定柳さんが立っていた。
ようやく顔見知りに会うことができて、ほっと胸を撫で下ろす。
「お久しぶりです。クラルテでは妻がいつもお世話になっております」
「こちらこそ。理優さんには毎日助けられていますよ。さすが、統悟様が見込んだだけのことはありますね」
社交辞令の薄っぺらい賛辞ばかりが飛び交うこの場所で、柳さんの言葉だけは胸の奥にすんなりとやさしく入り込んでくる。
「理優さん、パーティーは楽しんでいらっしゃいますか?」
「はい。……と言いたいところですが、緊張しすぎてそこまで余裕は持てそうになく……」
「はは、無理もないですね。しかし、遠目から眺めていたのですが、堂々とされていて素敵でしたよ。なによりそのドレス姿、とてもお綺麗です。よく似合っておりますね」
「っ、恐縮です……」
周りに本当はどう見られているのか。
ずっと不安で仕方がなかったから、うっかり泣きそうになってしまった。