仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

「ところで奥さん、申し訳ないが、統悟くんを少し借りてもいいかな? 久しぶりだからふたりで話したいことがあってさ」

気を抜いていたところに突然声をかけられて、反射的に顔を上げる。

「え、ええ、もちろんでございます」

私がそう言うと、徳井社長はうれしそうに笑った。

「よし、統悟君。じゃああそこのテラスにでも行こうか!」

「徳井社長、ですが……」

統悟さんがそう言って心配そうにこちらを見るので、私は慌てて口を開く。


「私なら大丈夫です。隅のほうに座って待っておりますので」

「……わかりました。なるべく、すぐ戻るようにします。……あと、それから」


ふと、距離を詰められたことで目の前が暗くなった。

「助けてくださってありがとうごいました」

耳元で柔らかな声が響いて。
それから。


「本当は、一瞬でもひとりにしたくない」

その唇が、そっと私の頬をかすめた。

「……………」

触れた部分がどうしようもなく熱い。
体温が上がるにつれてパーティーの喧騒が遠のいていく感じがする。


「……本当に、ずるい……」

統悟さんの背中が見えなくなったあとも、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
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