仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
──五十嵐 広樹くん。
四年間コンシェルジュとして一緒に働いてきた同期だ。
私が足を止めると、彼はにこっと笑いながら隣に並んできた。
「残業だったのか?」
「あ……うん、まあそんな感じ。五十嵐くんは、今日は休みだったよね?」
「そうそう。だからヒマでさ、この辺ぶらぶらしてたわけ」
「そっか。最近よく会うね。散歩コースなの?」
まあね、と短い答えが返ってくる。
五十嵐くんとは、先週もこのコンビニの近くで会ったばっかりだ。
彼の家はたしか、私の家から三駅は離れた場所にあるはずだけど……。前に散歩が趣味だと言っていたし、このくらいの距離は歩いて当然かもしれない。
「成田、コーヒーでも飲む? 俺、ちょうどコンビニ入ろうとしてたとこだし奢るよ」
「ありがとう。でも大丈夫」
「遠慮すんなって。べつにコーヒーじゃなくてもいいし、他の好きなやつとかさ。ほら、今限定のスムージーはどう? 成田ってああいう果物系好きだろ?」
「たしかに好きだけど……」
でも悪いし、と再度断ろうとしたときには、五十嵐くんはすでにコンビニへ足を踏み入れていた。