仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
少し経って、戻ってきた五十嵐くんからベリーのスムージーを受け取る。
発売日から気になっていたものだったから嬉しい反面、五十嵐くんにはいつももらってばかりだから申し訳なさのほうが勝ってしまう。
先週会ったときもそうだけれど、職場でも日ごろからよくドリンクやスイーツを差し入れてくれるのだ。
「ありがとう。また今度お礼するね」
「まじで気使わなくていーから。でもその代わり、成田の家まで送らせて?」
「え? そんな……大丈夫だよ、家すぐそこだもん」
「もう遅いし危ないだろ。ほらほら」
軽く背中を押して促される。
私は少し迷った末、笑顔を返して頷いた。
五十嵐くんは学生の頃からコンシェルジュを目指していただけあって、とにかく人に尽くしたがりなのだ。
かくいう私もコンシェルジュの端くれ。だれかの「助けて」を拾い上げるのを役目として、相手が求める前に提案する、頼まれる前に差し出すといった意識を常にもって行動してきた。
そんな中で気づいたのは、人の善意もまた、不思議なことに「助けて」と同じかたちをしているということ。
“家まで送る”は、彼の優しさ。私に向けて差し出されたもの。
住人の意思を取りこぼしたくないのと同じように、彼の、役に立ちたいという思いも床に落とすような真似はしたくない。