仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
それからは怒涛の日々だった。
北口さんや商店街の有志の方々の実名入りインタビューの記録や、当時の契約書の写しや誠実な交渉の記録を揃えて。
それから私は、自身の名義でメディアへと働きかけた。
─────「私は夜見氏を愛して結婚しました。被害者だと思ったことは一度もありません」と。
声明を出した直後、私の元にはいくつもの主要メディアから取材申請が届いた。
翌朝には、北口さんを始めとする商店街の有志の方々と共に、インタビュアーの前に立った。
「夜見社長は、私たちの生活を壊すどころか、守ってくれた恩人です」
北口さんがその手で当時の交渉メモを掲げ、毅然と言い放つ。
そこには、統悟さんが何度も夜遅くに商店街へ足を運び、一人ひとりの要望に耳を傾けていた筆跡が残っていた。
効率重視の買収案を突き返し、住民との約束を守った統悟さんの本当の姿が、そこにはあった。
私たちの発信に呼応するように、あらゆる場所からの告発も相次いだ。
捏造記事の元となった「自称・関係者の証言」が、実はライバル企業から金銭を受け取った虚偽のものであることが発覚。
さらに、『気に入らない役員を理不尽に処分した』という噂については、該当者は社内で重大な不正を行った役員だったそうだ。
それを統悟さんは、すぐに辞めさせることはせず、異動という形で処遇し、更生の機会を与えていたという事実が明らかになった。