仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「はあ……悪ふざけがすぎたな」
「……え?」
「悪かった。ほかの男に言い寄られているの見たら嫉妬して、つい」
意味が呑み込めず、まばたきを繰り返しながら彼を見つめる。
「仕事のついでなわけがないだろ。俺は、自分の妻を迎えに来たんだから」
「……妻……?」
やっぱり幻聴なんじゃないかと思う。
「だって私はもう……、離婚届を書いて……」
「離婚届? ……ああ、あのリビングに置かれていた紙切れなら捨てたよ」
「え……? ま、待ってください、本当に意味が……わかりません」
だって、私は統悟さんから直々に処分を下されたはずで……。
それに……。
「統悟さんが言ったんじゃないですか。『お前には失望した。離婚してくれ』って……」
記憶をたどりながら、そのセリフを口にする。
突きつけられたときの痛みを思い出すと、今でも胸が張り裂けそうだった。
「……───ああ、そういうことか……。まさかあの女が、そこまで言っていたとは……」
「え……? どういう意味ですか……?」
「逆に尋ねるが、君は”俺から直接“それを聞いたのか?」
その直後、はっと固まった。