仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

ああ……なるほど、笹井さんから……。

ふたつ下の後輩の、無邪気な笑顔が頭に浮かぶ。

恋愛話が大好きな彼女からはことあるごとに彼氏との惚気や相談を聞いていて、その流れで私も自分の過去の恋愛を打ち明けることがあった。

「そうだね。当分はもういいかなって思ってる」

「もったいないよ。成田、こんなに魅力的なのに……恋愛しないとかもったいないにも程があるだろ」

「あはは、ありがとう」

「真面目に言ってんだって。それともなに? 彼氏作りたくない理由があんの?」

ぐっと距離を詰められた。

彼氏を作りたくない理由……。

苦い思い出が脳裏をかすめて、一瞬言葉に詰まる。

「ううん……べつに大した理由はないよ。今は仕事一筋でがんばりたいなってだけ」

「じゃあ結婚はどうするわけ?」

「け、っこん?」

「そういう夢がまったくないことはないだろ? 両親に、そろそろ真剣に考えてとか言われたりしない?」

結婚。そういう夢。
今日はなんだか予想外の話題にびっくりさせられてばっかりだ。


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