仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
五十嵐くんの言うとおり、たまにメッセージのやり取りをしている母から、いい人はいないのかとか、紹介しようかとか、遠回しに急かされることはあるけれど。
「今はまだ、ほんとに考えてない……かな。まあ、ゆくゆくは……って思わないこともないけど」
「だったら早いほうがいいよ。成田、よく住人からも口説かれてたりするだろ。この前の男は妻子持ちだったし。ああいうクソみたいな奴に捕まる前に手を打っとかないと」
「ちょ……、ちょっと待って。いきなりどうしたのっ? 口説かれてたって、あれは相手の人の冗談で──」
「冗談なわけあるか!」
突然大声を上げられて、思わず息を呑む。
ただでさえ近かったのに、五十嵐くんはさらにもう一歩距離を詰めてきた。
逃げ場を塞ぐように、建物の壁際まで追い込まれる。
「俺はずっと見てきた。だから知ってる。成田が誰に、どんな目で見られてるか。……なのに成田は何もわかってない!」
五十嵐くんの指先が私の口元にかかる。
無理やり顔を上げさせられ、至近距離で視線が絡んだ。