仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

その後、徹底的な調査で沖野さんの不正が明らかになり、彼女は懲戒処分になった。

どうして彼女がそんなことをしたのか、統悟さんははっきりはわからないと言ったけれど、彼女も、もしかしたら統悟さんのことが好きだったんじゃないかと思う。

秘書という立場上、感情をころしてその役割に徹しなければいけない中で、とつぜん彼の妻となった私が現れて。
しかも、その世話までさせられて……。

もしかしたら最初から、私の前では相当無理をして笑っていたのかもしれない。


しかし、統悟さんに処分を下されたのをきっかけに彼女はさらに暴走してしまい、その恨みの対象は、私から彼へと移ったのだという。


つまり、私が元のマンション勤務に戻ったタイミングで世間に大きく取り立たされた統悟さんの偽の暴露記事についても、すべて沖野さんが仕組んだことだったらしい。

ただ、統悟さんにとってメディアの悪意に晒されるのはもう慣れたもので、正直気にも留めなかったという。


むしろ、クレーム騒動で一時的に加害者としてまつり上げられていた私が、今度は被害者として世間の同情を買う方になり、よかったと思った……と彼は言った。


「……あなたがこのまま他の場所で幸せになるならそれでもいいと思った。……けれどついこの間、あなたがあの記事の誤解を解くために働きかけてくださったことを知り、いてもたってもいられなくなったんです 」


彼がそう言ったとき、車はちょうどクラルテの地下駐車場のゲートをくぐったところだった。


「世間からの批判なんて日常茶飯事で、傷つくなんて感情はとっくに失くしていたはずだったのに……、あの温かい記事を見て、これまでに受けた痛みがすべてが救われた気がしました。本当に……ありがとうございました」


その言葉を聞いて、思わず胸がいっぱいになった。


私が、統悟さんが周囲に誤解されたままだったのが嫌だっただけ。

そんな自己満足な奔走でも統悟さんの心を少しでも幸せな方向へ動かせたのなら、これほど嬉しいことはない。
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