仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
明るくそう返事をしつつ、心の中はだんだんと沈んでいく。
両親の期待には応えたい。
五十嵐くんにも、もう一度きちんと向き合って、自分の気持ちを伝えたい。
でも……やっぱり、答えはすでに決まっている。
───『彼氏作りたくない理由があんの?』
人にわざわざ語るほど大層な理由じゃない。
けれど自分とっては、恋をしない理由として十分な過去がある。
五十嵐くんの姿が見えなくなり、私はしばらくその場に佇んだ。
一日が終わろうとしている。
夜の静けさが微かな痛みをともなって、少し遠い記憶を、そっと掘り起こしていった。