仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
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──まさかとは思っていたけれど。

夜見社長から受け取った封筒の中身を確認した瞬間、息が止まりそうになった。

見間違いかと思って数回瞬きをしてみても同じこと。

そこに記された文字を、再び、ゆっくりとなぞる。


──“クラルテ・レジデンス”。


夜見グループが総力を挙げて創出した大規模複合都市・オリゾンヒルズの最深部にそびえる建物群の名称だ。

そこ──通称『クラルテ』は、都市の利便と邸宅の静謐のふたつを同時に成立させた最高級レジデンスとして知られている。

そう、最高級レジデンス。
“高級マンション”と表すのさえためらわれる、文字通りの最高級レジデンス。

……手掛けたのがあの夜見グループとなれば、日本一と評してもきっと過言じゃない。

オリゾンヒルズ自体は研修などで何度も訪れているけれど、クラルテにおいては、私は遠目から拝んだことしかなかった。

というか、遠目からしか拝むことができないのだ。

あの広大な敷地の周りは最新のセキュリティできっちり固められていて、関係者以外は一歩も踏み込むことが許されないから。

一般人から見れば、まさに別世界。
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