仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
彼があの場でクラルテの名前を出さなかったのは、絶対にわざとだ。
客層はただの財界人や芸能人、ではなく“トップクラスの”財界人や芸能人。
しかも上が三百億ともなれば、世界規模で名を馳せる起業家クラスの住人がごろごろいるのだろう。
……夜見社長は、本当に人が悪い。
そうこうしているうちにお風呂が沸いたらしい。
壁に取り付けている給湯リモコンが音声でそれを知らせてくれた。
浴室に立ち込める湯気によって視界が白く、ゆらりとかすんで、私はやはり今日一日、夢の中に閉じ込められていたじゃないかという気がしてくる。
……なんて。
何度も何度も、同じ思考をなぞってばかり。
湯船の中でひとり、かぶりを振る。
いい加減やめにしよう。事の重さに耐えきれない子どもみたいでかっこ悪いもんね。
お風呂に浸かりながら、一日の出来事とこれからのことをひとつずつ整理していく。
気を抜けば眠気が襲ってくるので、そのたびに、ちゃぷん、と湯をすくいあげて胸元へ落とした。
クラルテという名前を聞かされていなかったとはいえ、異動について了承してしまった以上、私に逃げるという選択肢はない……。
客層はただの財界人や芸能人、ではなく“トップクラスの”財界人や芸能人。
しかも上が三百億ともなれば、世界規模で名を馳せる起業家クラスの住人がごろごろいるのだろう。
……夜見社長は、本当に人が悪い。
そうこうしているうちにお風呂が沸いたらしい。
壁に取り付けている給湯リモコンが音声でそれを知らせてくれた。
浴室に立ち込める湯気によって視界が白く、ゆらりとかすんで、私はやはり今日一日、夢の中に閉じ込められていたじゃないかという気がしてくる。
……なんて。
何度も何度も、同じ思考をなぞってばかり。
湯船の中でひとり、かぶりを振る。
いい加減やめにしよう。事の重さに耐えきれない子どもみたいでかっこ悪いもんね。
お風呂に浸かりながら、一日の出来事とこれからのことをひとつずつ整理していく。
気を抜けば眠気が襲ってくるので、そのたびに、ちゃぷん、と湯をすくいあげて胸元へ落とした。
クラルテという名前を聞かされていなかったとはいえ、異動について了承してしまった以上、私に逃げるという選択肢はない……。