仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
低い声に呼ばれ、ばく、と心臓が跳ねた。
とっさに顔を上げる。
立ち去ったはずの彼が、私を見つめている。
底の見えない深い瞳。
気を抜いたせいか、一気に中へ引きずり込まれる。
どうしよう。身動きが、取れない。
「差し出がましいようですが、いくらあなたの恋人であっても、クラルテの敷地内まで迎えに来させるのは控えられたほうがよいかと」
「……、え?」
職務にあるまじき声が漏れてしまう。
けれど。だって。今のセリフの意味が、本当に読み取れなかったから。