仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
……あれ……?

見間違えたのかもしれない。
次にまばたきをしたときには、相変わらず完璧な笑顔がそこにあった。

「あのとき夜見さんにご相談させていただいた件なんですけどもね、あれから、そのお〜……どうでしょう?」

……ううん、やっぱり見間違いじゃない。

笑顔を見せるまでのあいだ、たしかに、その瞳にはわずかな戸惑いが滲んでいた。
まるで知らない相手を見ているような。


「──鈴原様、おはようございます」

私は咄嗟に口を開いていた。

「先日の都市開発フォーラム、お疲れ様でした。たしか夜見社長も同席されていたとか」

相手がこちらを振り向く。

────セントラルタワー九階の入居者、鈴原慶一様。

三日前の午後、私は彼からチャーター便の手配を依頼された。
その際、たしかフォーラムの帰りだと聞いた記憶があったのだ。

「おおっ、誰かと思ったら成田ちゃん! そうそう、あの日は僕たち同じグループでね、実に濃い時間だったよ〜。ねえ、夜見さん?」

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