仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

「おっと、わたくしとしたことが喋りすぎましたかね。今の話はどうか聞かなかったことに」

柳さんがいたずらっぽく笑った矢先に、内線が音を立てた。

現実が戻ってくる。

胸の奥に広がる痛みをそっと押し込めて、私は受話器を取った。


✦ ✦ ✦ ✦


気づいたときには夜の七時を過ぎていた。

朝の七時に退勤して、一時間後に家に着いて……。そこから記憶が途切れている。

見ると自室のソファの上。
そうだ。部屋に入った瞬間にどっと疲れが押し寄せてきてソファへ倒れ込んだのだった。

……つまり、十二時間近く眠ってたってこと?


信じられない気持ちで体を起こす。
なんとなくだるい感じがする。頭がずきずきと痛い。

寝すぎたせいかと思ったけれど……どうやら違うらしい。
水を飲んでも、食事をとっても、重たい感じが消えなかった。

そういえば少し熱っぽい気もする。

体温計……どこにあったっけ……?
探そうと立ち上がるけれど、すぐに力尽きて諦めた。

そんなとき、どうしてか夜見社長の顔が浮かんだ。


──“頑張るのはいいですが少しお疲れのようにも見えます。あまり無理はしないように。”


たしかに気を詰めすぎていた自覚はあるけれど、自分ではまだ余裕だと思っていたのに。

怖いくらい、なんでも見透かされちゃうな……。

そんなことを思いながら目を閉じる。
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