仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
✦ ✦ ✦ ✦
あれから数分後、私はどういうわけかクラルテの建物内に逆戻りしていた。
夜見社長の車に乗せられてからの記憶は曖昧だ。
熱に浮かされながらぼうっと窓の外を眺めているうちに、車は地下駐車場のセキュリティゲートを通過していた。
視界の端でセンサーの赤い光を捉えた瞬間、はっと正気に戻る。
「あ、あの、すみません、私っ……」
車が止まり、勢に任せて声を掛ければ、案の定言葉に詰まってしまった。
……ええと、……そうだ。
五十嵐くんに殴られそうになったところを、ちょうど通り掛かった彼が助けてくれたのだ。
やさしく私の手を引いて、それから、自分の上着まで掛けてくれて……。
──『あなたが手を上げようとしたこの女性が、その“夜見統悟”のものだということまでは、ご存知ありませんでしたか?』
ついさっきの光景が、ぼやけた意識の中に浮かび上がる。
一拍遅れて、心臓が大きく跳ねた。
首筋から頬にかけて、火照りがじわじわと広がっていく。
「さ、先ほどは助けていただいて、本当にありがとうございました」
「べつに、礼を言われるようなことは何もしていませんよ。敷地の近くで従業員に騒ぎを起こされては、クラルテの品位を貶めかねない。そう判断して声を掛けただけですので」
「……はい。お騒がせして申し訳ございませんでした」
あれから数分後、私はどういうわけかクラルテの建物内に逆戻りしていた。
夜見社長の車に乗せられてからの記憶は曖昧だ。
熱に浮かされながらぼうっと窓の外を眺めているうちに、車は地下駐車場のセキュリティゲートを通過していた。
視界の端でセンサーの赤い光を捉えた瞬間、はっと正気に戻る。
「あ、あの、すみません、私っ……」
車が止まり、勢に任せて声を掛ければ、案の定言葉に詰まってしまった。
……ええと、……そうだ。
五十嵐くんに殴られそうになったところを、ちょうど通り掛かった彼が助けてくれたのだ。
やさしく私の手を引いて、それから、自分の上着まで掛けてくれて……。
──『あなたが手を上げようとしたこの女性が、その“夜見統悟”のものだということまでは、ご存知ありませんでしたか?』
ついさっきの光景が、ぼやけた意識の中に浮かび上がる。
一拍遅れて、心臓が大きく跳ねた。
首筋から頬にかけて、火照りがじわじわと広がっていく。
「さ、先ほどは助けていただいて、本当にありがとうございました」
「べつに、礼を言われるようなことは何もしていませんよ。敷地の近くで従業員に騒ぎを起こされては、クラルテの品位を貶めかねない。そう判断して声を掛けただけですので」
「……はい。お騒がせして申し訳ございませんでした」