仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
あっけらかんと言ってのけているけれど。
たしかに、夜見社長はあまり帰ってこないと柳さんも言っていたけれど。
……ああ、だめだ。
熱のせいもあってか考えがまとまらない。
「そんな……できません」
そのひとこと絞り出すので精一杯だった。
「できない? どうして?」
「だって……その、立場的にも……分不相応と言いますか。ご厚意はありがたいのですが、業務上の関係ですし……そこまでしていただくわけには、いきません」
なんとか言い切ると、彼は少し考えるような仕草をした。
「なるほど。立場上、一方的に甘えるのは気が引けるということですね。でしたら、対等になるよう俺からもひとつ頼みを出しましょう」
「頼み……? 私に、ですか?」
ええ、と彼が微笑む。
「俺と結婚してくれませんか」
「………? え、?」
ごちゃごちゃしていた頭の中が、一度、真っ白くリセットされた。
けっこん
────結婚?
そのシンプルな二文字だけが、ぽつんと浮かび上がる。
……聞き、間違えた……かな。
いや、そんなはずはない。
だとしたら冗談?
「本気ですよ。こんなところで戯れを言っても、なんのメリットもないでしょう」
「…………」
これ以上の証明が必要ですか?とでも言いたげだ。
たしかに、そう。
夜見社長がそう言うのなら、そうなのだろうけれど。
本気なのは、わかったけれど────いや、嘘。全然わからない。