仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
急に結婚などと言われて戸惑ったけれど、蓋を開けてみればひどく単純な利害の話。
彼が最も興味を示しているのは私自身ではなく、私の家族が所有する土地、なのだ。
それを隠そうともしない冷徹なまでの態度に驚きつつ、不思議と嫌な気持ちは湧いてこない。
むしろ、愛だとか優しさだとか、綺麗な言葉で飾り立てられるよりよっぽど信頼できる。
「もちろん結婚するからには、俺なりに大切にするつもりです」
彼は私の左手を取ると、その薬指にそっと唇を落とした。
不意を突かれ、心臓が跳ねる。
「元気になったら、改めて返事を聞かせてくださいね。あなたに似合う指輪を用意しておきますから」
触れた部分がじわりと熱を帯びて、頬までかっと熱くなった
これは……きっと熱のせいだ。
まだ体調だって万全じゃないし、こんなことをされたら誰だって驚く。
もしくは夢。じゃないと……おかしい。
あの夜見社長が……私に、こんな、プロポーズ、みたいなこと……。
そうに違いない、のに。
白く眩んだ世界の中。気づいたときには、私は何かに操られるように頷いていた。