仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

「それでは、私はそろそろ仕事に戻りますね。ついでに婚姻届(これ)も出してきます」

夜見社長が立ち上がるのにつられて、私も反射的に腰を上げた。

「あの、社長、────」

口を開きかけて、ぐっと思い留まる。

割り切ったビジネスライクという言葉に頷いておきながら、綻びひとつないほど徹底されるのは寂しい……。

……なんて、言えるわけがない。


「ええと……やっぱり、私も一緒に行きましょうか? 今日は仕事も休みですし」

「いえ大丈夫です。午後からあなたも予定があるでしょう」

「ですが……」

「本当にお気遣いなく」

きっぱり断られると、もはや踏み込む余地がなく。

せめて玄関まで見送ろうと廊下に出れば、彼は思い出したようにこちらを振り返った。


「ああ、そうだ。指輪ですが、もう少しだけ待っていてもらえますか?」
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