仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
不安に押しつぶされそうになっていたところにあっさりとした声で返され、ぽかんとしてしまう。
「そう……なのですか?」
首を傾げて見つめ返せば、彼は少し飽きれたような顔をした。
本当に今さらですね、とでも言いたげだ。
まあ、ご両親に相談した上で婚姻届に名前を書いたのだろうし、彼にとってはとっくに折り込み済みの話だったのかもしれない。
大財閥という立場にありながら結婚相手は自由に選ばせてくれるなんて……。
きっと、温かいご家庭なんだろうなと思う。
「ああ、そうだ。実は俺も聞きたいことがありまして。……ひとつ、よろしいですか?」
「え? あ、はいっ」
「俺との結婚を決めてくださった理由です」
「理由……?」
「ええ。自分で言うのも気が引けますが、あなたが俺のような男を好んで選ぶ……いわゆる玉の輿に乗るタイプだとはとても思えなくてですね」
わずかに間をおいてから、彼は続けた。
「もちろんそれが第一の理由でも全く構いませんよ。もとより、結婚するからには望まれるものすべてを与えるつもりでしたから。……しかし、恐らく、あなたは違うでしょう?」
「……っ」