仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

初めて異性と付き合ったのは、高校二年生の夏だった。

彼はサッカー部のエースでよくモテて、人望も厚く、全員から慕われているような人だった。

告白されたとき、私は恋愛における好きという感情をイマイチ理解しきれていなかった。

────『もう無理かも。理優のこと好きすぎて誰にも取られたくないっていうか……』
────『俺と付き合ってよ……ねえ、お願い』

いつもクラスの中心で騒いでいる彼に、顔を赤くしながらそんなことを言われて。
嬉しいと感じるよりも先に、一生懸命差し出されたこの気持ちを跳ね除けてはいけないと思った。

────『よろしくお願いします……』

そう答えた自分の声が、どこか他人事みたいに聞こえたのを覚えている。

彼は『俺たち気が合うよね』と、よく笑った。
映画やドラマの趣味も、食の好みも、会話のテンポもぴったりだと。

その笑顔を見るたびに私は安心していた。

……けれど。

────『理優ってほんと、不満とか全然言わないね』

付き合ってしばらく経ったある日、彼にそう言われた。
その表情は少し寂しそうで、私はうまく笑えずにいた。
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