仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

その頃にはもう彼の恋人としての“私” が出来上がっていて、それを壊さないように必死だった。

少しでもかたちが崩れれば彼は傷つくかもしれない。
こんなはずじゃなかったと失望するかもしれない。

だから何も言えなかった。
好きなものも、嫌いなものも。
……本当は少しだけ無理をしていることも。


彼との関係は冬の初めごろまで続いて、ある日、ふと終わった。

何がきっかけだったのか、はっきりとはわからない。
ただ、どこかで噛み合わなくなっていたのだと思う。

相手を喜ばせたくて理想の私を演じていたはずが、かえって彼を傷つけた。

当然の結果だと思う。
彼が最初に好きになってくれた私は、もうとっくに側にいなかったんだから。
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