仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「どうしたんですか成田さん。心配ごとがあるなら私が聞きますよ?」
彼女───社長の秘書である沖野さんに顔をのぞき込まれて、ハッと現実に返った。
そうだ。今は、荷物の運び入れを手伝ってもらっている最中だったのだ。
夜見社長のことが頭から離れずに、つい意識がそれていた。
「いえ、大丈夫です。大したことではないので……。それより、お忙しいのに来ていただいて本当にありがとうございます」
「全然ですよお。むしろ、社長のご夫人のお手伝いさせていただけるなんて光栄です」
明るい笑顔を浮かべたまま、沖野さんは軽やかに段ボールを持ち上げる。
相変わらずきびきびと無駄がなくて、“できる女”という感じだ。惚れ惚れしてしまう。
「それに、統悟社長の秘書って私だけじゃないので心配はご無用ですよ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうなんですそうなんです。いるんですよ、社長と同い年で、さらに社長と並んでも見劣りしないほどのイケメンが」
「へえ……男の人もいらっしゃったんですね。知りませんでした……」