仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
すると沖野さんが、くすっと笑う。
「成田さん、もしかして社長以外のイケメンには興味なかったり?」
「へっ? いえっ……そんなことは……」
「まあ無理もないですよね。統悟社長ってやっぱ次元が違うというか」
「そ、そうですね。とても綺麗な方だなと思います。お顔もそうですけど、立ち振る舞いなどすべてが……」
「きゃーっ! それ社長が聞いたら喜びますよ!」
はしゃぐ沖野さんに笑顔を返しながらも、内心ではじわりと嫌な汗が滲んでいた。
私は彼のことをまるで何も知らない。
何も知らない相手と、今日、結婚してしまった。
……本当におかしな話。
“社長夫人”という肩書きで沖野さんの前に立っている自分が、場違いを通り越して罰当たりにさえ思えてくる。
「あの、沖野さん」
ついにいたたまれなくなって、半ば無意識に声をかけていた。