仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「はい、ありがとうごさいます。……沖野さんは本当にお優しいんですね」
「優しいだなんて。私はただ、社長が信頼して隣に置くと決めた方を同じように大切にしたいと思っているだけですよ」
……本当に、なんて素敵な人なんだろう。
人としても秘書としてもどこまでも完璧で、ただただ感服してしまう。
私なんかじゃなく、きっと彼女のような人こそ社長のパートナーにふさわしいのに……。
そんな卑屈な考えがよぎった、矢先のことだった。
「それはそうと……今夜、いよいよですねっ」
悪戯っぽく目を細めた沖野さんに、私は首を傾げる。
「今夜……? 何かあるんですか?」
「初夜ですよ。初、夜」
「………、へ? ……ええっ!?」
頭の中で何かが凄まじい音を立てて爆発した。
驚きと恥ずかしさがぶつかり合い、沸騰したような熱が一気に全身を駆け巡る。
「やだもう。成田さんってば動揺しすぎです」
「だ、だってその……っ、さっきもお伝えしましたが社長と私は形だけの結婚ですので……そんな……あるわけが……」